節分の日の食べ物といえば、大豆や恵方巻きを思い浮かべますね。
でも全国には、もっと様々な節分料理があります。
ざっと調べただけでも、その数なんと16種類!
日本全国の節分料理を紹介したいと思います。
節分の食べ物とその由来
全国の様々な節分料理を、まずは一覧で紹介します。
中には初めて目にする料理も、あると思います。
いったいどんな料理で、どういった由来があるのか調べてみました。
大豆
基本中の基本なんですが。
大豆を使うようになったのは、都を荒らしていた鬼を追い払ったからとか、最古の医学書に「大豆は鬼毒を殺し痛みを止める」と記述があったからとか言われてます。
詳しい由来は以下の記事にまとめています。
→節分の由来や意味とは?なぜ豆をまくのか、飾り付けは鰯と柊なのか
落花生
北海道、東北地方、九州の一部では、大豆の代わりに落花生(ピーナッツ)を使います。
大豆に比べて衛生的で、拾い集めやすいというメリットがあるんだとか。
節分で使う豆の種類については以下の記事にまとめています。
恵方巻き
2000年以降に広まり、今や全国区の食べ物。
七福神に見立てた7つの具を入れ、恵方を向いて丸かじりするのが良いそうです。
由来については下ネタを含め諸説あり、ハッキリしません。
近年になって商業目的で広められた食べ物なので、伝統的ではないですけど。
節分そば
節分そばは、江戸時代まで「年越しそば」と呼ばれていました。
というのも、昔は1月1日よりも「立春」こそが新年と考えられていたんですね。
だから「立春」の前日である「節分」こそが、本当の年越しと考えられていたんです。
ですので、その名残が今でも残っていて「節分そば」になったわけです。
で、なぜ「節分そば(昔は年越しそば)」を食べるようになったのかというと。
幸せを蕎麦からかきいれるためとか、蕎麦のように長く生きられるようにという説。金銀細工師がそば粉で練った餅で、飛び散った金銀を集めていたからという説。
などなど諸説あります。
節分そばは、主に島根県や長野県で食べています。
イワシ
関西を中心に西日本では、節分の定番としてイワシを食べます。
伝統的には「塩イワシ」と呼ばれる塩漬けにしたものを食べますが、最近ではただの塩焼きを食べる家庭も増えた様子。
なぜイワシを食べるのか?その理由は以下に記事に詳しく書いています。
→節分にいわしを食べる理由!食べる地域と、めざしや秋刀魚でもOKか?
けんちん汁
関東地方の寒い季節の行事では、「けんちん汁」を食べることが多かったみたいです。
それが次第に他の行事が廃れていくことで、節分で食べるのが目立つようになりました。
つまり節分の縁起物というよりは、冬の行事全般で食べるものだっということ。
それが今でも「けんちん汁」を食べる理由だそうです。
こんにゃく
お腹にたまった砂をおろすため、節分にこんにゃくを食べる風習があります。
こんにゃくは江戸時代から「腸の砂おろし」として知られていました。
食べ方はいろいろありますが、島根県では生こんにゃくを酢味噌和えにしていただくのが伝統だそうです。
香川県、島根県、山口県、群馬県など広い地域で、節分に食べられています。
なまこ
隠岐の島では、「砂おろし」のためナマコを酢の物にして食べます。
ナマコは海底にたまった栄養を砂と一緒に取り込み、砂だけ排出する仕組みを持ちます。
それにあやかって、体内の老廃物を出すため、ナマコを酢の物にして食べるらしいです。
昔の人は、結構砂を食べちゃってたんですね。
いも汁(とろろ汁)
長野県では、節分に「いも汁」と呼ばれる「とろろ汁」を麦飯にかけて食べます。要するに「麦とろ飯」。
その由来には諸説あります。
長芋を鬼の金棒に見立てて、それを平らげることで鬼を祓うという説。山芋をすっている姿が、鬼の角をすっている様にみえて、鬼が逃げ去ったという説。
イワシと一緒にたべる家庭が多いようです。
麦飯
岡山県、広島県、島根県、山口県の麦作地帯では、麦への感謝を込めた農耕イベントを行うところがありました。現在もやっているかは不明です。
どうやるかというと、麦飯を腹いっぱい食べたあと、麦畑に転がったり、麦を大声で褒めたりするそうです。麦飯を神仏にお供えするという家庭も。
この行事は、正月付近にも行いますが、節分にも行いました。イワシと一緒に麦飯を食べる家庭が多いのは、このなごりだと思います。
くじら
山口県や島根県、長崎県では、節分の日にクジラを食べます。
特に「くじらの街」として有名な山口県下関市では、「尾羽毛」という鯨の肉で最上級とされる部分を刺身で食べる郷土料理があります。
節分に「尾羽毛」を食べると、向こう一年を健康に過ごせるとのこと。
その他にも食べ方はいろいろあって、くじら飯・くじら汁・竜田揚げ・南蛮煮など。鯨を食べるのは、大きな幸せを願うという意味だそうです。
百尋(くじらの小腸)
やはり鯨なのですが、食べる部分が独特です。
長崎では節分に、「百尋」と呼ばれる茹でた鯨の小腸を、ポン酢や酢味噌で食べます。
鯨は海の魔を祓うという意味や、鯨を食べることで大きくなる意味があるとか。
漁師町な感じがしますね。
紅大根
長崎では江戸時代から節分に食べられている食べ物。
紅大根が「赤鬼の腕」に似ているところから、 食べることで鬼を退治するという意味があります。
甘酢など、なますで食べるのが一般的。
長崎市の一部の農家が生産していて、地元では「節分大根」とか「鬼の手大根」とも呼ばれています。
カナガシラ
長崎の節分料理で、カナガシラという魚を煮つけにして食べます。
地元では「ガッツ」と呼ばれることも。
カナガシラは赤い魚で体調30〜40cmぐらい、見た目はホウボウに似てます。
「カナガシラ=金頭」だから縁起がよいとされ、お金が貯まるという言い伝えがあります。
尺八イカ
長崎の節分料理で、「尺八いか」の他にも「とっぽいか」などと呼ばれています。
イカの種類でいえば、ヤリイカのこと。
イカの腹にもち米などを詰めて煮たものを食べます。
小判菓子
福井県小浜市の一部地域では、節分の日に「小判菓子」を食べます。
楕円形の小判のような形をしたお菓子で、縁起物として神棚に飾って食べるのがスタンダード。「一生お金に困らないように」との願いが込められています。
「小判菓子」が全国区だと思っていた地元の人もいる様子。
あとがき
もし自分の家の節分に、変わった食べ物が出てくるようであれば、それはどこかの風習かもしれません。
親や祖父母の出身県を調べると、オモシロイ発見があるかもですね。
最近では、節分にチョコやビスタチオ、飴、お菓子を蒔く家庭もあるそうですよ。
もうここまでくる、節分には好きなものを蒔いて、好きなものを食べれば良いのではという気がしてきました。
→節分の豆まきの正しいやり方は?食べる豆の数の意味と、豆の種類
<参考文献>
著:白石昭臣/西中国山地の麦作儀礼伝承
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