毎年夏になると、「殺人ダニ」のニュースが流れます。
「殺人ダニ」として有名になったマダニ。
実際どれぐらいヤバイ感染症をもっているのでしょうか。
マダニの感染症については、簡単にまとめました。
マダニの感染症の種類と症状、潜伏期間、分布など
マダニの感染症は、たくさん種類があります。
そのなかでも、特にヤバイものだけをピックアップしました。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
SFTSはウイルスによる感染症。
毎年10名以上の死者が出ていて、これが一番ヤバイです。
SFTSにかかる患者は、50代以上が圧倒的。死者も50代以上で、高齢になるほど死亡率が高いです。
マダニに刺された犬や猫から感染した例もあるので、ペットを外飼している人も気をつけたいですね。
■症状
主な症状は、発熱と消化器系(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛など)。
ときに、頭痛、筋肉痛、意識障害、神経症状、けいれん、リンパ節、呼吸不全、皮下出血、下血などがあるそうです。
■潜伏期間
6〜14日
■致死率
2013〜2018年4月までで324人の感染が確認され、うち61人が死亡しました。致死率は20%ぐらい。
■分布
岐阜県より西で、感染が届け出されています。
でもSFTSは、東日本のマダニからも検出されてます。だから、東日本なら大丈夫というわけではないですね。
■治療法
有効な治療法がなく、対処療法のみ。
しかし、2018年にアビガン錠が有効かもしれないとして、治験中となりました。
<参考文献>
国立感染症研究所:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
厚生労働省:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A
ダニ媒介性脳炎
ダニ媒介性脳炎はウイルスによる感染症。
有効な治療法がなく、致死率や後遺症が残る確率も高いので、これもかなりヤバイです。
日本では、感染例が少ないのが幸い。
■症状
頭痛、発熱、嘔吐などインフルエンザのような症状から始まります。
そして12〜24日後に2〜3割の患者がめまい、羞明、構語障害、歩行不能、自律神経失調、昏睡を起こことも。
回復後も、頭痛、無気力、うつなど神経系の後遺症が残ることがあるそうです。
■潜伏期間
7〜14日
■致死率
今のところ、日本では1993年から3件しか報告されてません。そのうち死亡例は1件、後遺症が残ったのが1件。
しかし世界では毎年6000〜10000人以上が感染してます。
症状のタイプは、中部ヨーロッパ脳炎とロシア春夏脳炎の2つ。中央ヨーロッパ脳炎は、致死率1〜5%で後遺症35〜60%。ロシア春夏脳炎は、致死率30%。
■分布
日本では北海道の一部地域に分布しています。
■治療法
有効な治療方法がなく、対処療法のみ。
<参考文献>
国立感染症研究所:ダニ媒介性脳炎とは
日本紅斑熱
リケッチアといわれる微生物の一種による感染症。
全身に紅い発疹が出ることから、この名前が付きました。
感染するのは50歳以上が圧倒的に多いです。ただ、患者数そのものは、毎年右肩上がりに増えています。
■症状
発熱、発疹、肝機能の異常、刺し口(ダニに刺された傷が赤く腫れる)が、ほとんどの患者で見られます。
その他、だるくて動けなくなるほど倦怠感が強いのだとか。
■潜伏期間
2〜8日
■致死率
2015年には215例の感染報告があって、そのうち死亡が5件。致死率は2.3%。
2016年には最多の276例の感染報告があって、そのうち死亡は3件。致死率は1%。
■分布
もともと西日本に多かったのですが、近頃は東日本でも感染が確認されています。
日本紅斑熱の患者数は右肩上がりですので、感染地域も拡がっているようす。
■治療法
抗菌薬を投与して治療します。
<参考文献>
国立感染症研究所:つつが虫病・日本紅斑熱 2007~2016年
ライム病
細菌による感染症。
名前の由来は、アメリカのコネチカット州のライムで流行ったから。
食べ物のライムではなかったんですね。
■症状
感染の初期は、刺されたところを中心にダーツの的のような紅斑が出るので、非常に特徴的。
あわせて、筋肉痛、頭痛、発熱、悪寒などインフルエンザのような症状が出ることも。
■潜伏期間
3~32日間
■致死率
年間数十件の感染報告。死亡例は見つかりませんでした。
■分布
中部地方より東の地域。特に長野県と北海道で発生しています。
■治療法
抗菌薬による治療。治療が遅れると重症化や後遺症が残る場合があるそうです。
<参考文献>
国立感染症研究所:ライム病とは
回帰熱
細菌による感染症。
発熱を繰り返すことからこの名前が付けられました。
ロシアの報告では、患者の多くは50歳代以上。日本での感染は非常に稀とのこと。
■症状
主に発熱や頭痛、筋肉痛など風邪のような症状。
まれに神経症状、リンパ節、呼吸不全、出血症状など。
■潜伏期間
12~16日程度
■致死率
2011年以降に2例のみ確認されています。死亡例は報告されていません。
■分布
中部地方より東の山間部(標高1200m以上)や、北海道など寒冷地に生息しています。
■治療法
抗菌薬による治療。
<参考文献>
国立感染症研究所:回帰熱とは
厚生労働省:マダニ媒介性の回帰熱に関するQ&A
Q熱(コクシエラ菌)
リケッチアといわれる微生物の一種による感染症。
牛、羊、山羊、猫などの動物を通して、人に感染します。
Q熱に感染した動物の糞、尿、乳などに菌がいて、それが粉塵となって空中に舞うことで人に感染します。
■症状
発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感、呼吸不全などで、インフルエンザの様な症状がでます。
ただし、肺炎、肝炎、あるいはその他の症状が出ることも。だから判別がとても難しいようです。
■潜伏期間
14〜21日。感染量によっては短くなります。
■致死率
2003年以降は、毎年1〜9名程度しか感染していません。2015年以降は0。
また国内での死亡例はありません。
■分布
不明
■治療法
抗菌薬が有効。
<参考文献>
国立感染症研究所:Q熱とは
三重県感染症情報センター「Q熱:4類感染症:全数把握疾患」
その他にもマダニの感染症として、野兎病、エーリキア症などがあります。どちらも近年、日本での感染報告がないようなので省きます。
まとめ
マダニの感染症の種類や症状などをまとめました。
噛まれたからといって、必ず感染するわけではありませんが。
むしろ感染しないことのほうが多いとは思いますが。
でも、これだけ感染症が多いと、ホント噛まれたくありませんね。(^_^;)
マダニは虫除けで防ぐことができます。
最近では濃度の濃いやつでてますし、アウトドアへ行くときは、虫除けを積極的に利用したいですね。
特に50歳以上の人は、感染率が高くなっているので要注意かなと。
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