身内に不幸があった場合、喪に服しますね。
しかし、喪に服す期間には「喪中」と「忌中」があります。
似ているようで違うこの2つ。
意味も違うし、期間も違うし、やってはいけないことも違う。
その辺のについて詳しく書いてます。
忌中って何だ?
喪中と忌中の違いとは?
「喪中」と「忌中」には、それぞれ別の意味と背景があります。
喪中とは?
「喪中」とは、亡くなった人を偲び、悲しみから立ち直るための期間。
この期間は、祝い事など、おめでたい席への参加を控えます。
”喪”の思想は、もともと中国の儒教からきたもの。日本にいつ伝わったのかは分かりませんが、奈良時代の「養老律令」には、既に喪に関する規定が記されていました。
喪中の期間は、一般的には一年間。だけど、これには異論があるので後ほど説明します。
忌中とは?
「忌中」とは、故人をまつり、死の穢を周りにうつさないため慎んで過ごす期間。
こちらは、神道の思想からきています。(正確には「死穢」という日本古来の観念かららしい)
神道では、亡くなった方の身内は穢れているとされるので、神事に関わることができません。
忌中の期間は、ふつう50日間。その後は、死の穢れもとれるので、再び神事に関わることできます。
ところで、ここがちょっとややこしいんですが。
「忌中」の期間には、「中陰」という期間も含まれてます。
中陰とは?
「中陰」とは、故人の霊がさまよい輪廻転生するまでの期間。故人の極楽浄土を願ってお経を唱えます。
こちらは、仏教からの思想。
中陰は、一般的に49日間。四十九日に法要が行われるのもこのため。
なぜ「忌中」に「中陰」の意味が含まれているのかと言うと、これは神仏習合の影響みたいです。仏教と神道は、今でこそ分離してますが、1000年間以上も混ざってました。
というわけで、「忌中」と言ったときは、「中陰」も含めての意味になることが多いので注意。
ちなみに浄土真宗では、臨終とともにすぐ極楽浄土へ旅だつと考えるので、喪中も忌中(中陰)もないそうです。
スッキリしていて良いですね。
期間名 | 思想 | 期間 |
喪中 | 儒教 | 1年 |
忌中 | 神道 | 50日 |
中陰 | 仏教 | 49日 |
次は、喪中の期間と忌中の期間について。
喪中と忌中の期間はそれぞれ?
喪中の期間と忌中の期間は重なっているので、最初のうちは「喪中」でもあり「忌中」でもあるんですね。
そして、忌中の方が期間が短いです。
喪中の期間
喪中の期間は、先に書いたように、一般的には1年間と言われています。
でもこれ、本当は故人との続柄によって違うものでした。
その辺りは、明治時代の太政官布告である「服忌令」に書かれています。
《明治七年太政官布告武家制服忌令の一部》
※見易いように一部表記を改変・省略しています。
続柄 | 忌中期間 | 喪中期間 |
---|---|---|
父母 | 50日 | 13ヶ月 |
父方の祖父母 | 30日 | 150日 |
母方の祖父母 | 20日 | 90日 |
夫 | 30日 | 13ヶ月 |
妻 | 20日 | 90日 |
嫡子 | 20日 | 90日 |
兄弟姉妹 | 20日 | 90日 |
伯叔父母 | 20日 | 90日 |
嫡孫 | 10日 | 30日 |
甥姪 | 3日 | 7日 |
この表を見ると、喪中の期間を一律に1年間というのは、ちょっと違うんじゃないかと思います。
ただ世間的には、1年間というのが広く知れ渡ってるので、そっちが一般的なマナーになっちゃってるんですよね。
忌中の期間
忌中の期間は、一般的に50日間とされてます。
でもこちらも、先に載せた”服忌令”を参考にすれば、故人との続柄によって違うはずなんです。
なぜ一律に50日間となったのかは、ちょっと分かりません。
もしかしたら、中陰(49日間)を含めるために、50日間としたのかもしれませんね。
次は、喪中と忌中でしてはいけないことについて。
喪中と忌中でしてはいけないこと
喪中と忌中では、やってはいけないことが違います。
忌中
忌中は、とにかく神事を避けなければなりません。
ということで、神様が関係するようなことはダメ。神社にも近寄れないし、神棚にも触れない。
以下のようなイベントも出席を控えます。
でも、どうしても参加したい場合は、お祓いを受ければ良いみたいです。
もちろん相手方への相談は必須ですけど。忌中の人が来るのは、相手が嫌がるかもしれません。
あと、お中元やお歳暮を送ることは問題ないようですが、やはり相手が気にするかもしれません。
送る場合は、紅白の水引や熨斗をつけないようにしましょう。
喪中
喪中は、お祝いごとなど慶事への参加は避けるべきとされてます。
でも、お祝いごとに参加したくなったなら・・・実はその時点で、喪は明けてます。
喪中は、悲しみから立ち直るための期間ですから。
ただし、相手方への配慮は必要かなと。喪中の人間が参加して良いものか、相手方に相談してみてください。
そしてお祝いごとに参加したなら、もう喪中は終わりで良いんじゃないかと思います。
あとがき
喪中と忌中の違いについて、まとめてみました。
忌中は50日間なので良いのですが、喪中の1年間はちょっと長すぎますね。
現代では、そんなに喪に服していられません。。
喪中や忌中の期間は、時代とともに変わってきたもの。だから、そんなに慣習にこだわる必要はないんじゃないかなと思っちゃいます。
それにしても、まさか神道と儒教と仏教が、ごちゃまぜになっているとは。(汗)
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