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お屠蘇とは?その意味と由来、作り方、屠蘇器、飲み方を紹介

お屠蘇 お正月

元旦の朝に飲むお酒といえば“お屠蘇”。

“お屠蘇”に入れるお酒は日本酒ではなく、本当は薬用酒って知ってました?

お正月の伝統的な慣習である“お屠蘇”について、正しく知っている人は2割程度だそうです。

そこでお屠蘇の意味や由来、作り方、屠蘇器、飲み方などを詳しく紹介したいと思います。

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お屠蘇とは?

お屠蘇お屠蘇とは、5〜10種類の生薬を、日本酒やみりんに浸けた薬草酒のこと。

このお屠蘇に入れる生薬は調剤されて、屠蘇散(正式には屠蘇延命散)として売られています。

元旦に飲むと一年の邪気をはらい寿命を延ばすといわれ、家族そろって元旦に飲むのが慣わし。

お屠蘇は薬用酒を飲むのが本来の形ですが、日本酒を飲む地域も多いです。

お屠蘇の意味

“屠蘇”という言葉には意味があります。これにはいくつか説があるので紹介します。

[aside type=”boader”]

  1. “蘇”という病を起こす悪鬼を“ほふ”ること
  2. 悪鬼を“ほふ”って人魂を“よみがえ”らせること
  3. 考案した人が屠蘇庵という草庵に住んでいたから
  4. チベット語の木の板や屋根の板の名前から
  5. 西方の薬草の名前から

[/aside]

「病を起こす悪鬼」というのは、疫病を意味してます。「肘後方ちゅうごほう」(西暦363年)によると、お屠蘇は疫病にかからないために飲むもの。それを考えると、“悪鬼を屠る”という説だとシックリくるなぁと個人的には思います。

“屠蘇”には言葉の意味だけではなく、由来もあります。

お屠蘇の由来

華佗

こちらも諸説ありますが、“屠蘇”は三国志に登場する神医・華佗かだ(西暦110~208年)が考案したという説が有力です。

ただし、華佗による自著は見つかっていません。

代わりに葛洪かつこうの「肘後方ちゅうごほう」(西暦363年)や「玉函方ぎょっかんほう」、陳延之ちんえんしの「小品方しょうひんほう」(西暦454~473年)などに、“屠蘇酒”についての記述があります。ここに「正朝屠蘇酒法…此華佗法。」という記載があり、華佗の処方による屠蘇酒の飲み方が書いてあります。

別の説では、薬王とよばれた孫思邈そんしばくが考案したというのもあります。

しかし、孫思邈の「備急千金要方びきゅうせんきんようほう」(西暦581年)に書かれている屠蘇酒の処方は、華佗の処方とそっくりです。それに孫思邈は「華佗神方」「華陀神医秘伝」なども編集したとされ、華佗についてかなり詳しかったのではないでしょうか。

年代や背景を考えたら、やはり華佗が考案したと見るのがしっくり来ますね。

また、孫思邈が住んでいた草案の名前が屠蘇庵であるという説もあります。

いずれにしても“屠蘇”が日本に伝わったのは奈良時代から平安時代にかけて。嵯峨天皇の時代に宮中の正月行事として取り上げられました。

それが庶民に広まったのは江戸時代。町医者が年末にかけて、まとめて払って貰った薬代の返礼として、屠蘇散を配ったそうです。今でも薬局によっては、年末のおまけとして屠蘇散を配るところがあります。

この屠蘇散というのは、いったいどういう成分が含まれているのでしょうか?

屠蘇散(屠蘇延命散とそえんめいさん)

屠蘇散

By Hanabishi, CC BY 3.0

屠蘇散は5〜10種類の生薬を調合して作られています。

中国の古い文献「肘後方」や「小品方」、「備急千金要方」によると、屠蘇酒に入れる成分として、大黄、白朮、桂心、桔梗、蜀椒、烏頭、菝葜、防風が載っています。

しかし現代の“屠蘇散”には、排便を促す“大黄”、トリカブトの根を使う“烏頭”など、作用の強いものは使われなくなりました。

ここでは現在の日本で使われている屠蘇散の成分について紹介します。

生薬名 説明 効能
白朮びゃくじゅつ キク科オケラ属の根茎。 胃を丈夫にする、整腸、利尿など
桂皮けいひ クスノキ科ニッケイ属の樹皮。ニッケイ属の木は、シナモンやニッキとして有名。 肌の状態を調える、発汗、止痛など
桔梗 キキョウ科キキョウ属キキョウの根。 咳止め、痰を切る、膿の排出など
山椒 ミカン科サンショウ属サンショウの果皮。 体内の冷えを改善、寄生虫や害虫の駆除、止痛など
防風ぼうふう セリ科ボウフウ属ボウフウの根。80cmぐらいに伸びるセリ科の草の根っこ。 肌の状態を調える、発汗、解熱、鎮痛など
陳皮 ミカン科ミカン属ウンシュウミカンの皮。 胃を丈夫にする、 気の流れを改善する、痰を切る、など
丁字ちょうじ フトモモ科フトモモ属チョウジノキの蕾。香辛料のクローブとして有名。 体内の冷えを改善、胃を丈夫にする、嘔吐を抑えるなど

こうしてみると、胃の働きを助けたり風邪を予防したり、風邪の諸症状を改善するような成分が多く含まれていますね。

今も昔もお正月というのは、食べ過ぎたり、気が抜けて風邪を引いたりする期間だったのかもしれません。

ただ実際には、元旦にちょっと飲むだけですので、生薬の効果は期待できないようです。

この屠蘇散を使った“お屠蘇”の作り方を見ていきましょう。

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お屠蘇の作り方

お屠蘇を作るには、屠蘇散と日本酒と本みりんが必要です。

屠蘇散は年末になると、ドラッグストアや薬局などで一包180円ぐらいから売られています。あるいは、日本酒やみりんのおまけに屠蘇散が付いてくるお店も。

ただ最近は店頭であまり売られていないらしく、ネットで買い求める人が多いようです。

“屠蘇散”が手に入ったら、次は日本酒と本みりんです。スーパーで買う場合は良く見ないと、“みりん風調味料”だったり、“発酵調味料みりんタイプ”だったりするので注意です。

[aside type=”normal”]お屠蘇の材料

  • 屠蘇散…一包
  • 日本酒…80ml
  • 本みりん…120ml

※日本酒と本みりんは、足して200mlになるように混ぜます

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作り方は簡単で、日本酒と本みりんを好みの割合で混ぜたものに屠蘇散を浸けるだけ。だいたい6〜8時間でつかるので、大晦日の寝る前に浸けておけばちょうど良いでしょう。

日本酒を多く入れると辛口に、本みりんを多く入れると甘口に仕上がります。個人的には甘いのが苦手なので、本みりんはちょっと(50ml)程度しか入れません。

ちなみに熊本では、赤酒というお酒だけを使うのが伝統的。赤酒はとても甘いので、養命酒に近い味になるようです。

次はお屠蘇を入れる屠蘇器を確認しましょう。

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屠蘇器とは?

屠蘇器とは、お盆、盃台、三段重ねの盃、銚子などを一組にしたお屠蘇用セットのことです。

屠蘇器の材質は、朱塗りや黒塗りなどの漆塗りや、すず製が一般的。しかし最近ではいろいろな種類のものがあって、金属製や陶磁器製、ガラス製などがあります。

オーダーメイドで漆器に家紋をいれたりも出来るので、いつかは注文してみたいですね。

お正月に屠蘇器を使うときは、「屠蘇飾り」と呼ばれる紅白紙と水引でできた飾りを、銚子の柄に結びつけておくのが正式なスタイル。でも「屠蘇飾り」は買うと意外と高く、作ろうと思うと面倒なので、つい省いてしまいがちです。

屠蘇器はお正月のとき以外にも、結納での「固めの杯」や結婚式での「誓杯の儀」に使われます。

最後にお屠蘇の飲み方を見ておきましょう。

お屠蘇の飲み方

お屠蘇の飲み方は、地域や家によって異なりますが、一般的には次のような作法があるとされます。

[aside type=”normal”]お屠蘇の飲み方

  1. お屠蘇を飲むときは、東の方角を向く
  2. 「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病なし」と唱える
  3. 最年長が最年少にお屠蘇を注ぐ
  4. 三つの重ね杯を、小・中・大の順で一杯ずつ合計三杯を一人で飲む
  5. 次に若い人へ杯をまわす

※ただし厄年の人は最後に飲みます。
※4の作法は略式もあります。中の杯に三回に分けて注ぎ、三回に分けて飲む。

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作法といわれても、何故こんなことをするのか疑問ですよね。

“屠蘇”に関する古い文献「肘後方」(西暦363年)や「備急千金要方」によれば、「屠蘇を飲むときは、東の方を向く。年少から年長の順に、一人飲めば一家が病にかからない、一家飲めば里が病にかからない。三日間朝に飲む。」のように書かれています。

①や②の作法は、どうやらここから来ているようです。でも原典が分かったからこそ「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病なし」のように唱える必要があるのか疑問に思いますね。

というのも、これはそういう効果があるって話で、唱えると効くって訳では無さそうなので。

③の作法は、儒教の経典「礼記」からで、薬の飲み方として子供達が先に飲んで毒味をするということみたいです。若者の生気を年長者へ渡すという話もあるのですが、これは何が発祥なのか不明でした。毒味だと印象が悪いからなんじゃ・・。

④の作法は、三献の儀とか式三献とよばれる日本の祝い事では必ず行われた儀式から来ています。

このような背景があって作法となっているんですね。一つ一つの動作にも歴史的な意味があるので、これなら素直に作法に従えそうです。(^_^;)

まとめ

お屠蘇の意味や由来、作り方や飲み方をまとめました。

お屠蘇は三国志の時代から続く、1800年以上もの歴史がある薬用酒だとは知りませんでしたね。

あるアンケートによると、お正月にお屠蘇を飲む人は全体の4割、お屠蘇のことを正しく知っている人は、たったの2割りだそうです。

お屠蘇を飲むという伝統的な習慣が、だんだん薄れてしまっているようで残念ですね。

お屠蘇は家庭の味にもなるし、自分で調合してみるのも面白そうです。あまり伝統に捕らわれず、薬草+ワイン=サングリアや、薬草入りのリキュールなんかも飲みやすくて良いのではと思います。

最後に、自家醸造に関する国税庁の見解を載せておきますね。

焼酎等に梅等を漬けて梅酒等を作る行為は、酒類と他の物品を混和し、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされますが、消費者が自分で飲むために酒類(アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限ります。)に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としないこととしています。

1 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ

2 ぶどう(やまぶどうを含みます。)

3 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす

国税庁:お酒についてのQ&A>【自家醸造】

分かり難いですが、引用の1、2、3に該当する素材をお酒に混ぜると、お酒の製造行為とみなされて酒税法違反ということです。

でもこれ、ビタミン類や香料がダメってことだから、自宅でサングリアとかカクテル作ったらアウトってことか・・・。

<参考文献>
宝酒造:「お屠蘇に関する意識調査 2012」
薬史学雑誌:「屠蘇酒の起源に関する考察」
维基文库:肘後備急方
漢方薬のきぐすり.com

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