体育の日は「スポーツの日」になるそうです。
「スポーツの日」に変更される法案が、2017年秋の国会に提出ということで、早ければ2018年度から変わる可能性が。
仮にそうなると、2018年の「スポーツの日」は10月8日。
新感覚の「スポーツの日」ですが、実はちょっとしたトリビアがあって、それは体育の日になる前も「スポーツの日」だったんですよ!
・・・何のことやらですよね?
時系列にすると、「スポーツの日」→「体育の日」→「スポーツの日」。
アホくさっwww 税金返して!
そんな「スポーツの日」について、その辺の事情と、由来や意味なんかをサクッとまとめてみました。
まずは「スポーツの日」が毎年いつになるかについて。
「スポーツの日」は毎年いつになる?
「スポーツの日」は旧体育の日と同じで、毎年10月の第二月曜日になります。
第二月曜日になったのは、土日を含めて三連休が取れるよう、「ハッピーマンデー制度」という法律が施行されたから。それまで体育の日は、毎年10月10日に固定されてました。
それではいったいなぜ、体育の日から「スポーツの日」へと名前が変わるのでしょうか?
体育の日から「スポーツの日」へと変わる理由
「スポーツの日」となるのは、2020年の東京オリンピック
に向けて、「スポーツ」のほうが「体育」より広い意味を持ち、自発的に楽しむという意味を含むから、だそうな。
2015年に設置されたスポーツ庁によって、「スポーツ」が広く浸透したことも影響したみたいです。
それにあわせて、国民体育大会(略称“国体”)も「国民総合スポーツ大会」などの名称が検討されてます。略称は“国スポ”になるのかな・・・?
参考:朝日新聞デジタル『「体育」の文字が消える 日本体育協会が名称変更へ』
と、ここまでは朝日新聞の記事を参考にしたんですが、これだと背景にあるものが良く分からないので、もう少し掘り下げてみます。
体育=スポーツではない
体育を英語にすると「Physical Education」。意味するところは身体教育。
スポーツを英語にすると「Sports」。その意味は遊戯・運動・競技。
なので、身体教育と遊戯・運動・教義では意味が違いますね。
ところが体育の日は、英語で「Health-Sports Day」と言い、国民体育大会は「National Sports Festival」と言ったりします。
つまり私達が日本語で“体育”と言っているものが、英語では“Sports”として訳されているわけですね。
オリンピックに向けて、そのあたりのズレを治そうという流れがまずあります。
それに体育には、スポーツと決定的に異なる背景があります。
体育の背景にあるのは軍国主義の流れ
体育の背景には、軍国主義の流れがあります。
明治時代、スポーツは兵士の訓練や、その予備軍となる男子生徒の身体を鍛えるために活用されていました。
それをスポーツ=遊戯などと呼ぶのは不適切ということで、体育と呼ばれるようになります。
さらに軍国主義のもと軍事教練と体育教育が一体化。戦後もこの教育方針が続き、命令に絶対服従することや、ルール、体罰など、軍隊式のスタイルを残したまま体育は発展します。
例えば組体操とかね!
組体操は北朝鮮お得意のマスゲームの一種で、ドイツの軍事教練から始まってます。第一次世界大戦をキッカケに広まり、明治時代に日本に伝わりました。
ですので体育は、ちょっと強制的というか、義務的な教科ですので、スポーツのような自主性や自発性はありません。
だから、オリンピックを記念した日を、体育の日と呼ぶのはちょっと違うわけですね。
参考:視点・論点 「体育からスポーツへの変化を」
「スポーツの日」に変わる理由はそんな感じです。
次は、体育の日の由来を見ていきましょう。
体育の日の由来は?
体育の日は、1964年の東京オリンピックにおける輝かしい成績を記念して制定されました
。
体育の重要性を国民に知らしめるために、オリンピックの開会式が行われた10月10日となってます。
参考:文部科学省「体育の日について」
そんな馴染みの深い、体育の日ですが、そもそも別名でした。えっ?
体育の日はもともと「スポーツの日」だった?
最初に書いたとおり、体育の日となる前も「スポーツの日」でした。
体育の日が制定される前の、1961年に制定されたスポーツ振興法に「スポーツの日」が記載されています。
ここで注目なのが、このときの「スポーツの日」も、1964年の東京オリンピックを意識して記載されたものなんです。
で、オリンピック後の1966年6月25日には、「スポーツの日」を体育の日と改めるわけです。
参考:Wikisource:国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律_(平成30年法律第57号)
なので、今も昔もオリンピックのために、「スポーツの日」を制定しているわけですね。なら、そのままにしておけば良かったのにね!
そんな歴史を繰り返している「スポーツの日」ですが、本来どういったことすべき日なんでしょうか?
スポーツの日って何をする日?
まだ確定していないのですが、一言で言うと以下の感じみたいです。
「スポーツを楽しみ、互いを尊重し、健康で活力ある社会を願う」
ちなみに「体育の日」は、以下の感じでした。
「スポーツに親しみ、健康な心身をつちかう。」
出典:文部科学省「体育の日について」
ちなみに本文はもっと長くて、堅苦しい法文が書かれています。それを一通り読んで、噛み砕いていうと・・・
「身体にいいから運動しろ」
ってことみたい。
2020年東京オリンピック真夏開催の謎
ところで1964年のオリンピックは10月10日に開催されて、2020年はなぜ真夏なのでしょうか?
2020年のオリンピックの開催日程は7月24日~8月9日となってます。
常識で考えれば、どう考えても秋の方がいいですよね。
東京はコンクリートの街だから、日中の気温はとんでもなく上がるし、クーラーの排熱もすごい。夜は熱中夜。
こんな参加する人も見る人も歓迎しない真夏を、ワザワザ選ぶ理由ってなんでしょうか?
1964年と2020年の東京オリンピックでは、それぞれ事情が異なるので順に見ていきましょう。
1964年の東京オリンピックは10月10日
1964年の東京オリンピックが10月10日になった理由は・・・
東京の夏は気温と湿度が高く、10月上旬までは秋雨前線が停滞することなどを考慮して日程が決められました。
出典:総務省「10月10日 東京オリンピックの開会式が行われた日」
1964年のときは、やっぱり夏の東京が熱いのと、秋雨前線を考慮してという、非常にまっとうな理由です。
2020年の東京オリンピックは真夏になった理由
その理由とはズバリ、テレビの放送時間を確保しづらいから!
IOCがそうズバッ言ってます。
秋に開催できないのは、秋はアメリカの大リーグやNFL、欧州サッカーの開幕直後なので、時期をずらしたいテレビ会社の意向があるから。
アメリカのメディアは、すでに22年冬季〜32年夏季までのオリンピック6回分について、約7780億円を契約しています。
IOCはその収入の9割を各国のオリンピック委員や、競技の国際連盟に還元しているのだとか。
参考:withnews「東京五輪、どんなに暑くても「真夏」縛り 秋にできない大人の事情」
つまりお金を貰ってるオーナーの意向なんですね。
なんか五輪憲章を見直したくなりました。
- 選手の健康を守る施策を奨励、支援する
- スポーツを商業的に悪用することに反対する
アレっ(・・?
まとめ
「スポーツの日」について、まとめてみました。
まとめてみると、たしかに体育の日は時代に合ってない感じがします。「スポーツの日」に変更したほうが良さそうです。
一番最初に「スポーツの日」が出来た理由はオリンピックで、再び「スポーツの日」に戻る理由も、やっぱりオリンピックなんですね。
そのオリンピックの精神は、もはや神聖なものでもなさそうな。
というわけで汚れてしまった「スポーツの日」は、うちでゴロゴロ過ごしてもいいんじゃ?と思うようになりました。
みなさんも素敵な「スポーツの日」をお過ごしください。
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