こどもの日といえば、鯉のぼりですが。
鯉のぼりって、何のために揚げるんだろう?
飾る方になると、気になるものですね。
鯉のぼりの由来と、各部位の名称や意味、数や色について紹介してます。
鯉のぼりの由来
鯉のぼりは、江戸時代に鯉を描いた幟を掲げたのが始まりと言われています。
当時、武家では「端午の節句」が重んじられ、戸口に幟や吹流しを立てて祝うのが盛んでした。武家の幟や吹流しには、家紋が描かれています。
それを庶民がまねて、鯉を描いた幟を立てました。やがて紙で作った鯉を、竹竿の先につけて掲げるようになります。
初めは一匹だった鯉も、明治になると二匹に。さらに昭和の後半になると、三匹になりました。
これが、今でも続くスタイルとなったわけです。
鯉のぼりを掲げる意味
幟に鯉が描かれるようになったのは、中国から伝わる「登竜門」の故事にならったから。
中国の黄河には竜門と呼ばれる滝があり、そこを登り切った魚は竜になるといわれていました。
その滝を登ることができたのは鯉だけだったことから、子供の立身出世を願って鯉が描かれるようになったのです。
つまり鯉のぼりとは、男児の誕生を知らせ、立身出世を願ったもの。
<参考文献>
渡辺信一郎/著,『江戸の庶民生活・行事事典』,東京堂出版(2000年)
次は、鯉のぼりの各部位の名称と意味を紹介します。
鯉のぼりの各部位の名称と意味
鯉のぼりには、いろいろ不思議なパーツが付いていますね。
たとえば一番上に付いている、カラカラ回る風車みたいなやつ。
鯉のぼりの各部位について、順に説明していきます。
回転球
竿の頂点についているパーツは、回転球といいます。
神様を迎えるための依代で、神様が見つけやすいよう派手になっています。
一昔前は竹で編んだ籠で作られていて、「籠玉」と呼ばれていました。籠から先端に玉のついた棒が、ピョンピョン飛び出しているのが特徴です。
ちなみに、籠は神様を迎えるための依代で、棒の先に付いている玉は、邪気を睨み返し払うためのものだとか。
さらに昔は「髯籠」と呼ばれれ、太陽神のための依代でした。
実は意外と歴史がありそうなのが、鯉のぼりの回転球の部分です。
矢車
回転球の直ぐ下で、カラカラと回る矢車には、魔除けの意味があります。
四方八方に向けた矢が、あらゆる方位からの魔を払うのだとか。
やはり武家の影響が強いみたいですね。
五色の吹流し
五色は古代中国の「五行説」に基づいたもので、邪気を払う意味があります。
「端午の節句」の吹流しに、五色を使うようになったのは、中国から伝わった続命縷という五色の紐飾りが原点だとか。
続命縷は日本では薬玉となり、「端午の節句」にすだれや柱に飾られました。
その後、私達がよく知っている「くす玉」となって、祝いの席に登場します。あれは、邪気を払い寿命を延ばすための、伝統ある飾りだったんですね。
ちなみに吹流しは、戦場において風向きを見るために使われたものでした。
鯉
一番上の真鯉がお父さん、二番目の緋鯉がお母さん、一番下は子供達。
鯉は男の子が生まれるたびに増やします。
<参考文献>
飯島 吉晴 著,「節分と節供の民俗」
神崎 宣武 著,「まつり」の食文化」,角川書店(2005)
次は、鯉のぼりの数と色にどんな意味があるのかについて。
鯉のぼりの数と色について
鯉のぼりの数
鯉のぼりは当初、一匹だけでした。
鯉の種類としては真鯉で、子どもを意味しています。
それが明治時代になると、真鯉はお父さんの意味になり、緋鯉が加わります。緋鯉は子どもを意味しました。
その後、昭和39年以降にもう一匹加わります。
このとき2番目の位置にいた緋鯉は、お母さんの意味となりました。そして新たに加えられた一匹が、子ども達の意味となります。
ただし鯉のぼりの歌では、お母さんは登場してません。鯉のぼりの歌は、昭和初期に作られたので、まだお母さんが登場してなかったんですね。
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屋根より高い 鯉のぼり♪
大きい真鯉は お父さん♪
小さい緋鯉は 子供たち♪
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あれっ?お母さんいないよ!
そのとき、なぜお母さんがいなかったのか理由はハッキリしません。
一般的には男尊女卑の時代だったからとか、「端午の節句」は男性向けのものだったから、などと言われています。
鯉のぼりの色
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- お父さん→真鯉→黒
- お母さん→緋鯉→赤
- 子供たち→小鯉→青(緑)、白、黄など
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これも、吹流しと同様に、中国の五行が基になっています。
男の子が増えるたびに、使われていない色の鯉が追加されていきます。
まとめ
鯉のぼりの由来と、各部位の名称や意味、数や色について紹介しました。
鯉のぼりは、庶民の間から生まれた文化。しかし、その飾りや意味に関しては、中国から伝わったものが大きいです。特に鯉は、登竜門の故事から来たんですね。
鯉のぼりは時代とともに進化しています。今では鯉が三匹となり、お母さんの存在も認められ、時代に合うものとなりました。
このあと超高齢化社会となれば、お祖父ちゃんお祖母ちゃんも加わるかもしれませんね。
そしてそろそろ、中国に逆輸入されてもいいんじゃないかと思う素敵な文化です。
毎年この時期になると、街のアチコチで見られる鯉のぼり。最近は少なくなりましたが、進化する伝統として継承していきたいですね。
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