栄養価が高く、美容や健康にも良いといわれるアーモンド。
そんなアーモンドですが、生アーモンドの方が素焼きアーモンドより栄養価が高いという話があります。
また、生アーモンドは危険性があるなんていう話もチラホラ。
本当のところはどうなのか調べてみました。
まずは、生アーモンドと素焼きアーモンドの栄養を比較してみます。
生アーモンドと素焼きアーモンドの栄養を比較
生アーモンドと素焼きアーモンド、それぞれ100g当たりの栄養成分を比べてみます。
アーモンドのなかでも、特に含有量が多い栄養成分だけをピックアップしました。
栄養成分 | 生アーモンド | 素焼きアーモンド |
---|---|---|
カロリー | 587kcal | 608kcal |
タンパク質 | 19.6g | 20.3g |
脂質 | 51.8g | 54.1g |
ビタミンE | 30.3mg | 28.8mg |
ビタミンB2 | 1.06mg | 1.04mg |
カルシウム | 250mg | 260mg |
マグネシウム | 290mg | 310mg |
リン | 460mg | 480mg |
鉄 | 3.6mg | 3.7mg |
亜鉛 | 3.6mg | 3.7mg |
銅 | 1.17mg | 1.19mg |
食物繊維 | 10.1g | 11.0mg |
一価不飽和脂肪酸 | 33.61g | 35.09g |
多価不飽和脂肪酸 | 12.12g | 12.65g |
こうして比較してみると、生アーモンドと素焼きアーモンドの栄養には、ほとんど差がないように見えます。
さらに主要な成分について、その効果を確認しながらローストの影響を見てみます。
ビタミンE
ビタミンEは、アーモンドの代表的な成分です。
“若返りのビタミン”ともいわれ、美容効果抜群。加工食品をのぞけば、アーモンドのビタミンEの含有量は、食品のなかでもNo.1。
また、ビタミンEは熱に強い脂溶性なので、ローストしてもほとんど減りません。
ビタミンB2
ビタミンB2は、脂質の代謝を促すダイエットには欠かせない成分。
アーモンドはビタミンB2の含有量が、食品のなかでもトップクラスです。
とこビタミンB2は水溶性で熱に弱いとされているのですが・・・なぜかローストしてもほとんど失われていないようです。
理由は分かりませんが、ビタミンB2が減らないのは嬉しいですね。
ちなみに、ビタミンB1も含まれていますが、ローストすることで激減してます。
ミネラル類
アーモンドは、ミネラル類が豊富です。
ミネラルは、ローストしてもほとんど変動してません。
むしろ水分が飛んで凝縮されたのか微増してます。ミネラル不足が指摘される現代人としては、積極的に摂取したいですね。
食物繊維
食物繊維も微増しています。
やはりローストすることで水分が飛ぶからでしょうか?
アーモンドは食物繊維が豊富で、なんとごぼうの2倍も。これだけ豊富だと便通の改善にも期待できますね。
一価不飽和脂肪酸
アーモンドの成分の50%は脂質ですが、ローストすることによって微増します。
この脂質は、ほとんどが一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)。
悪玉コレステロールを減らす効果が期待ができます。
このように生アーモンドと素焼きアーモンドの主要な成分を比較してみても、差がほとんどないことが分かりました。
これは予想外でしたね。
ただ、生アーモンドと素焼きアーモンドには、栄養価以外のところで大きな違いがあります。
それは何かと言うと・・・。
生アーモンドと素焼きアーモンドって何が違う?
生アーモンドと素焼きアーモンド。説明する必要もなく片方が“生”で、片方がロースト(素焼き)したものです。
ローストしても見た目は変わらないのですが、実は味や食感、身体への負担が違ってきます。
素焼きアーモンド
素焼きアーモンドはよく売っている一般的なアーモンド。
アーモンドといえば、普通はこの素焼きアーモンドです。
ローストしただけあって香りがよくポリポリっとした歯ごたえが特徴。
ただし、アーモンド本来の甘味が無くなっています。またアーモンドの成分は50%が脂質なので、火を通すことで酸化しやすくなるというデメリットも。
最大の違いは、ローストすることで酵素抑制物質という身体に負担のかかる成分がなくなること。詳しくは後ほど解説します。
生アーモンド
生アーモンドとはローストしてないアーモンドのこと。ただし、カビや虫を防ぐため乾燥はしてます。
メーカーによっては乾燥するときの温度が45℃以上になり、“生”とはいえない状態になることも。
45℃を超えて乾燥させると、“生”だからこそ活きている酵素が失われる可能性があるそうです。
食感はポリポリ感は残しつつも、ややシットリ。アーモンド本来の甘味が特徴で、ほんのりした甘さが美味しい。
ローストしてないのでアーモンドの50%を占める脂質は酸化しませんが、その分ナッツ類の大敵である湿気やカビに弱くなります。
また、酵素抑制物質が存在しているので、身体に負担がかかる可能性も。
カビや酵素抑制物質など、生アーモンドの危険性について、もう少し詳しく見ていきます。
生アーモンドには危険性がある?
アーモンドが注目されるようになり、より栄養価が高そうだからと、生アーモンドも流通するようになりました。
当然、“生”なので、ローストしたものより扱いが難しくなります。
過去にはアメリカ、カナダ、オーストラリアで、生アーモンドに付着したサルモネラ菌による食中毒がおきています。
また、アーモンドには強い発がん性をもつ、アフラトキシンなどのカビ毒が生えることが知られています。ローストしたものよりカビが生えやすいので、気をつけたいところですね。
そしてこれは避けようがないのですが、生アーモンドには酵素抑制物質(発芽抑制因子、代表的なものとしてABA)というものが存在してます。
これは種子が適切な環境下で発芽するよう調整するための物質。
この酵素抑制物質を体内にいれると、活性酸素が大量につくられミトコンドリアが損傷するという話があります。
活性酸素はあらゆる疾病につながっているいわれる物質ですので、なるべく増やさない方が良いのです。
アメリカ合衆国国立科学研究所会報に発表された論文「人体に対しABAの作用で、ヒト顆粒球(白血球の一種)で食作用が活発化し、活性酸素や一酸化窒素が多量に産生され、生体細胞内のミトコンドリアが損傷され、諸疾患の原因になる」
しかしこの酵素抑制物質は、浸水することや熱することで失活させることができます。
ですので、ローストしたアーモンドでは問題になりません。
<参照>
日豪プレス「健康食生アーモンドで病気に」
国際医学情報センター「生アーモンドに関連したSalmonella血清型Enteritidis感染症のアウトブレイク-アメリカとカナダ,2003~2004年」
あとがき
生アーモンドと素焼きアーモンドの栄養って、実はほとんど差がありませんでした。
じゃー何が違うかというと、1つには食感と味です。
ローストアーモンドは香ばしく歯ごたえが良く、生アーモンドは本来の甘味が美味しい。
あと、生アーモンドは食中毒とカビに注意。それと、酵素抑制物質が含まれてます。
ただ、酵素抑制物質が本当に気にするほど影響があるのか?実害のあった例などはあるのか?というところになると、引用して紹介するほどの論文やニュースを見つけることが出来ませんでした。
というわけで、普段はローストアーモンドで、たまに生アーモンドを買って食べてます。
アーモンドの凄さを確認できる、以下の記事もぜひ読んでみてください。特に美容効果は本当にすごいですよ。
コメント
昨夜、生アーモンドを10粒程度食べたのですが、それから直ぐ胃が痛み出しました。何となくすっきりせず、今朝、食事が取れずムカムカして吐き、下痢にもなりました。
生アーモンドのサルモネラ菌でしょうか?それもと、生なので胃に負担が大きいのでしょうか?
生アーモンドが原因かは分からないのですが、胃腸に負担を掛けていることはあるかもですね。
私は胃腸が弱いのでわりと下痢になりやすいです。だから、体調の良くないときはナッツをあまり食べないようにしていますね。
心配なら、趣向を変えてローストしてみるのも良いかなと思います。
体調を崩しやすい時期なので、お大事にされてください。
生アーモンド 500gを1週間で食べきってしまう。お腹を壊した事はまったくなし。私にとっては米やパンの代替品です。
1週間に500gは、かなりお好きなようですね。
お米やパンの代わりということで、よっぽど身体に合うのかなと思います。
うちの嫁もアーモンド大好きで、身体に合うらしいんですよね。
食べてた方が身体の調子が良いらしくて。
私は食べ過ぎるとお腹に来るので、いっぱい食べられるのが羨ましいです。
週刊誌にアップル創業者の顛末は「アーモンドの生食にあるのではないかと思っている」
と書いてあったのが妙に頭にこびりついています(2018年の主な週刊誌のどれかが出典)
ローストが安全そうです。
アップル創業者については、波乱万丈な人生だけに、ストレスもすごそうですよね。
あれだけのストレスを受けたら・・・身体がどうにかなってしまう。
50代過ぎたら、身体も回復しなそうですし。