スーパーの鮮魚コーナーに並ぶ鮭。
紅鮭、秋鮭、時鮭、銀鮭、サーモンなど、いったい何が違うのかよく分かりません。
迷ったあげく色艶のよいものを選ぼうとすると、今度は甘口、辛口、山漬け、ふり塩など、なんとなく塩加減が違うのは分かるんですが・・・。
この記事では、そんな主婦のモヤモヤをスッキリ解決します。
はじめに鮭の種類と味の違いを見ていきましょう。
鮭の種類と味の違い
鮭の種類にはどんなものがあるのか、まずは以下の表をザックリ見てください。
鮭の種類だと思っていたものが、実は商品名だったりします。
鮭の種類(標準和名) | 商品名 |
---|---|
紅鮭 | 紅鮭 |
鮭(通称:白鮭) | 秋鮭 時知らず 時鮭 鮭児 |
銀鮭 | 銀鮭 |
タイセイヨウサケ | アトランティックサーモン |
ニジマス | ニジマス トラウトサーモン サーモントラウト |
マスノスケ | キングサーモン |
スーパーで売られている鮭は、だいたいこの6種類です。
特に注目なのは「鮭(通称:白鮭)」。鮭は「秋鮭」や「時鮭」など、さまざまな商品名で売られています。
ちなみに、鮭の種類として使われている“標準和名”っていうのは、日本において学名の代わりに使われる一般的な名前のこと。
鮭の学名であるOncorhynchus ketaだと、何のことかサッパリ分かりませんからね。^^;
というわけで、この記事でも“標準和名”を使っていきます。
ただし、「鮭(通称:白鮭)」だけはややこしいので、通称である白鮭の方で呼ぶことにします。
それでは細かく見ていきます。
紅鮭
紅鮭は、身が濃い紅色をしている鮭。
スーパーでも売られていてますね。
値段は少し高めで、一切れ200円〜500円ぐらい。
紅鮭の特徴
紅鮭は今のところ天然ものしか存在しません。
鮭の仲間のなかでは最もアスタキサンチンが豊富。
アスタキサンチンは抗酸化作用が凄く、活性酸素を抑えるアンチエイジングで有名です。
美容、健康に役立つ鮭としては、紅鮭が一番ですね。
美味しい紅鮭の選び方
紅鮭はオホーツク海〜アラスカ湾という北太平洋の冷たい海を回遊します。
アラスカ・カナダ産は、産卵のため川を遡って来たもので、栄養を使い果たし脂のノリがイマイチ。
ロシア産はロシアの沿岸近くで取れたものが多く、脂のノリはそれなり。
オホーツク海の近くで獲れる北海道産は、栄養を蓄え脂が乗って一番美味しいと言われています。
また日本で獲ったものとロシアで獲ったものでは、塩や加工技術に差があり、その影響が味に出ます。
北海道産のなかでも、TVや雑誌で取り上げられてる最高級のプレミアム天然紅鮭は別格らしいです。
世界で0.2%しか獲れない鮭、一度で良いから食べてみたい。^^;
鮭(通称:白鮭)
スーパーで必ず売られている最もスタンダードな鮭。
日本で鮭といったら普通はこの鮭(通称:白鮭)のことを言います。
スタンダードな鮭だけに、様々な料理や加工食品に使われます。
鮭(通称:白鮭)の特徴
鮭(通称:白鮭)は卵の粒が大きいため、筋子だけでなくイクラとして加工されることもあります。
ふつう鮭(通称:白鮭)という名前では売られてなくて、代わりに秋鮭、時知らず、時鮭となっていることが多いです。
太平洋北部に広く生息し、日本では主に北海道〜東北で漁獲されます。最近では中国への輸出も増えてきているとか。
鮭(通称:白鮭)は獲れる時期や場所で名が変わる
秋に産卵のため川に戻ってくるところを獲ったのが秋鮭。秋口なるとよくスーパーで売られています。
「時知らず」あるいは「時鮭」は、産卵のためロシアのアムール川に戻る予定の鮭を、春〜夏にかけて日本を回遊してるときに獲ってしまうもの。
秋鮭より早い時期に穫れるので時を知らない鮭、すなわち「時知らず」「時鮭」。秋鮭に比べて脂のノリが良く、臭みもなくしつこくないのが特徴。
「鮭児」は秋に獲れる産卵しない若い鮭のことで、デパートで数万円で扱われる高級魚です。
美味しい鮭(通称:白鮭)の選び方
スーパーで安く売っている鮭(通称:白鮭)、美味しくないものも多いです。
北海道の東で獲れるものが美味しいので、産地には十分注意したいところ。
ホンモノの「時知らず」の切り身は、脂がノリノリで照り輝いてます。
こちらの道東でとれる最高級の「時知らず」。
水揚げの後の丁寧な処理が全然ちがいます。鮭好きとしてはたまらない一品^^;
銀鮭
スーパーで流通しているのは、たいていチリ産か宮城産の養殖もの。
一番安価な鮭のなかまです。
銀鮭の特徴
養殖だけに脂はしっかりノッているけど、独特の臭みがあることも。
ただ宮城県産の銀鮭は、餌の工夫により養殖臭がかなり少なくなっているそうです。
お刺身で食べられるぐらい管理されたものもあるとのこと。日本の水産技術は凄いですね。
とても安いので、コンビニのお弁当やオニギリなど加工食品によく使われています。
タイセイヨウサケ
スーパーで並んでいるときの名前は「アトランティックサーモン」。
タイセイヨウサケの特徴
日本で流通しているのは全て養殖で、ノルウェー産かチリ産がほとんど。生食用に養殖されているものが多いです。
イオンで取り扱っている養殖アトランティックサーモンは、ノルウェーから空輸で運ばれ、一度も冷凍されることなく売り場まで届くそうですよ。
サーモンピンク色をしていて、脂のノリが凄いわりに癖もなく食べやすい。
寿司ネタで食べる「サーモン」や、お惣菜のサーモンマリネでお馴染み。
養殖サーモンは危険?
コーネル大学やイリノイ大学、インディアナ大学の研究で、天然サーモンに比べると養殖サーモンは汚染物質が多いという発表が2011年にありました。
その研究結果では、ノルウェー産・カナダ東岸産は年3回まで、チリ産は年6回までにすべきと勧告しています。
また、ノルウェー政府の2013年の発表には「出産適齢期の女性や妊婦は有害物質の可能性を考えて、養殖サーモンを食べるのは週2回程度にしたほうが良い」とあります。
でも、大学の研究発表はもう6年前ですし、ノルウェーは国を挙げてサーモンの養殖に取り組んでいますので、今ではもっと安全になっているとは思いますけどね。
<参考文献>
Gigazine「年に3回しか食べるべきでない?養殖サーモンの危険性」Mercola「Norway Issues Warnings About Health Dangers of Farmed Salmon」
ニジマス
基本情報
商品名:トラウトサーモン、サーモントラウト
英名:Rainbow trout
分類:サケ目サケ科タイヘイヨウサケ属ニジマス
産地:ノルウェー、フィンランド、チリ
味覚:脂がのっていて、サーモンのなかでも鮭に近い味
料理:刺し身、寿司、ムニエル、マリネ、バター焼き、鱒の寿司、スモーク
スーパーで売っているときの名前は「トラウトサーモン」。
淡水魚であるニジマスを、海で養殖できるよう品種改良したもの。
見た目は美しいサーモンピンクしているし、脂がのっていて鮭に近い味がするので日本で人気。
シャケ弁当や鮭茶漬けにも使われます。
一時期ニジマスなのに鮭として売っているということで、景品表示法違反の恐れがあるとして話題になりました。
マスノスケ
基本情報
商品名:キングサーモン
英名:king salmon
分類:サケ目サケ科タイヘヨウサケ属マスノスケ
産地:北海道、カナダ、ノルウェー、アラスカ、ニュージーランド
味覚:脂がのっていてジューシーだけど身はプリプリしている
料理:塩焼き、スモーク
スーパーで見なくなってきたキングサーモン。
価格は100gあたり500円〜1000円とかなりの高級食材。北米ではサケの最高品種とされています。
天然のキングサーモンは脂がしっかりのっているのに、身に締まりもあって臭みがなく美味しいです。
キングサーモンはほとんどが輸入。
だけど実は北海道や三陸でもちょっとだけ獲れて、ものすごい高値で流通してます。それらは「マスノスケ」「オオスケ」「スケマス」などと呼ばれてます。
以上、鮭の種類について詳しく見てきました。
次は甘口・辛口・振り塩・新巻きなどの塩加減とか、鮭の加工方法による違いを見ていきます。
鮭の加工方法の違い
同じ鮭の種類でも、加工方法によって味が全く違います。
生鮭
生鮭はその名の通り、なにも加工されてない生の鮭。
加工技術の進化により、船上で処理された鮭が一度も冷凍されることなく、スーパーまで届くようになりました。
養殖銀鮭をお刺身用として提供している企業もあります。
冷凍も加工もされず生のままスーパーに並ぶのが「生鮭」です。
甘塩・中辛・辛口
「甘口」「中辛」「辛口」の表示があるものは、現在ほとんどが“定塩”という製法で作られた鮭です。
“定塩”は塩水に漬け込む製法で、鮭の部位による塩加減のバラツキが少なく、塩分濃度もしっかり管理できるのが特徴。
ただし、塩に漬け込み熟成する塩蔵に比べて、脱水や熟成が進まず、鮭の旨味が乏しく水っぽくなりがち。
塩分濃度は加工業者によってマチマチですが、以下の設定が主流となってます。
<参考文献>
マルハニチロ サーモンミュージアム「鮭の加工」
ふり塩
名前の通りですが、生鮭の表面に塩が振ってあるだけです。
あまり売っているところを見たことがありませんね。
新巻鮭・山漬け
「新巻鮭」や「山漬け」は、水揚げしたあとすぐに下処理され、大量に塩をすりこんで塩漬けにします。
このとき鮭と塩を交互に積んで山積みにすることから「山漬け」。
塩漬けが終わったあとは塩を流して出荷する場合と、新巻鮭と同じように塩抜きや乾燥する場合があります。
「新巻鮭」の場合は塩漬けが完了したら、水や海水で塩抜きをしたあと鮭を磨きます
最後に天日や寒風、あるいは乾燥機で乾燥させて旨味を凝縮するのが特徴。作り方は地域によって違いがあります。
「新巻鮭」の由来は諸説ありますが、荒縄で巻いたからとか、荒く巻いたからなどと言われています。
塩引き鮭
「塩引き鮭」といえば新潟の村上が有名。
作り方は「新巻鮭」と大して変わりませんが、磨くときに鮭のヌメリがなくなるまで丁寧に磨き、それを寒風で干しあげるのが特徴。
実際食べてみると新巻鮭とは、全く違います。
サッパリとしているのに濃厚な鮭の味がして、しょっぱ過ぎず美味しいです。
沖漬け
あまり見かけることはないですが、沖漬けは獲ってすぐ船内で塩漬けにして冷凍したもの。陸揚げまで待つこと無く、新鮮なうちに処理するので生臭くありません。
それとは対象的に、陸漬け(おかづけ)というものもあります。これは漁獲したら一旦冷凍し、加工場に運んで解凍してから塩漬けにするもの。
あとがき
秋鮭、時知らずが、実は同じ鮭(白鮭)だったなんて驚きですね。
鮭(白鮭)の加工方法としては、新潟の名産「塩引き鮭」が最高に美味しいと思います。
これがあったら、ご飯バクバク3杯はいけちゃいます。^^;
鮭には美容健康にものすごく良い秘密が隠されています。
詳しくは以下の記事に書いてますので、よければ読んでみてください。
コメント
ニジマスはタイヘイヨウサケ属です。
現在のチリではシロサケ養殖はあまりメジャーでない気がします。
ご指摘ありがとうございます。
間違っておりましたので、修正致しました。
助かりました。m(_ _)m