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鮭、鱒、サーモンの違いって何?どこよりも細かく解説!

魚介類

鮭、鱒、サーモンの違いって何でしょうか?

鮭は海に住むもの、鱒は淡水に住むもの、サーモンは生食できる輸入もの。

もしそんなイメージを持っているなら、この記事を読むと目から鱗かもしれません。

鮭、鱒、サーモンの違いを、いろいろな確度から見ていきましょう。

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そもそも鮭、鱒、サーモンってなんだ?

鮭、鱒、サーモンの違いを理解するためには、それぞれの言葉の意味を正確に押さえておく必要があります。

そもそも鮭って何だ?

鮭には2つの意味があります。

1つは、“鮭類の総称”としての意味。これはふだん使っている意味なので、分かりやすいと思います。

さけ [1] 【鮭▼・ 鮏 ▼】

①サケ目サケ科の海魚の総称。一般に,サケ(シロザケ)・ギンザケ・ベニザケ・サクラマス・カラフトマス・マスノスケなどをいう。

出典:Weblio辞書 – 三省堂 大辞林

ただし、気をつけておきたいのが、サクラマスやカラフトマスなど、鱒と思われるものも“鮭類の総称”に含んでいる点です。

もう1つは、標準和名としての意味。この標準和名というのは、標準的に使われる魚類の名前を定めたもので、自然科学、教育、法律、行政、分類学で使われます。

この標準和名としての鮭は、サケ科のある特定の一種を指します。ここからは表のほうが分かりやすいので、以下を見て下さい。

標準和名 分類 商品名
サケ目サケ科
サケ属
サケ
秋鮭,
時鮭,
時知らず,
鮭児(けいじ)
紅鮭 サケ目サケ科
サケ亜科
タイヘイヨウサケ属
ベニザケ
紅鮭
銀鮭 サケ目サケ科
サケ亜科
タイヘイヨウサケ属
ギンザケ
銀鮭

表を見て貰うと分かる通り、標準和名としての鮭とは、普段スーパーなどで目にするところの秋鮭、時鮭、時知らずのことです。秋鮭、時鮭、時知らずは、商品名こそ違いますが実は同じ魚です。

[aside type=”normal”]鮭の2つの意味

  • 日常的な意味での鮭は、“鮭類の総称”
  • 標準和名での鮭は、サケ科の特定の一種

[/aside]

鮭がシッカリ把握できましたので、鱒を見ていきましょう。

じゃぁ鱒って何だ?

一般的に鱒とは、名前に“マス”がついた魚の俗称を意味します。

サケ目サケ科のカラフトマス・サクラマス・ビワマスなど「マス」の名のついた魚類の俗称。マスノスケやベニマス(ベニザケ)とその陸封型のヒメマス,カワマス・ニジマスをさすこともある。

出典:Weblio辞書 – 三省堂 大辞林

名前に“マス”がつくサケ科の魚の一部を、ピックアップしました。本当はもっと多いのですが、全部はとても載せられません。

標準和名(英名) 分類 商品名
サクラマス
(Masu salmon/
Cherry salmon)
サケ目サケ科
サケ亜科
タイヘイヨウサケ属
サクラマス
サクラマス
カラフトマス
(Pink salmon)
サケ目サケ科
タイヘイヨウサケ属
カラフトマス
カラフトマス
ニジマス
(Rainbow trout)
サケ目サケ科
タイヘイヨウサケ属
ニジマス
ニジマス,
サーモントラウト,
トラウトサーモン
マスノスケ
(King salmon/
Chinook salmon)
サケ目サケ科
サケ亜科
タイヘイヨウサケ属
マスノスケ
キングサーモン,
鱒の介(マスノスケ)
ヒメマス
(Kokanee)
サケ目サケ科
サケ亜科
タイヘイヨウサケ属
ヒメマス
 ヒメマス

余談ですがヒメマスは、淡水に住むものをヒメマス、海に出るものを紅鮭と呼んでいます。この2つの魚は全く同種の魚で、淡水に住むか海に住むかで鮭か鱒か違ってきます。

鱒の捉え方は、案外サッパリしていて分かりやすかったですね。では最後にサーモンです。

サーモンは?

サーモンは特にこれといった定義がありません。

そこでサーモンに対して持っているイメージを振り返ってみると、共通しているのは名前にサーモンが付くことだと分かります。

[aside type=”boader”]

  • アトランティックサーモン
  • トラウトサーモン
  • キングサーモン

[/aside]

というわけでサーモンとは、名前にサーモンが付く魚の俗称、というふうに認識しておきます。

鮭、鱒、サーモンが理解できましたので、ここから違いを見ていきます。

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鮭、鱒、サーモンの違いってなんだ?

言葉としての違い

鮭、鱒、サーモンという言葉の違いをまとめると、以下のようなります。

[aside type=”normal”]言葉としての違い

  • 鮭とは“鮭類の総称”か、あるいは“標準和名としての鮭”のこと
  • 鱒は“マスが名前に付いた魚の俗称”
  • サーモンとは“サーモンが名前に付いた魚の俗称”

[/aside]

しかしこの分け方では、鮭、鱒、サーモンを綺麗に仕分けることができません。例えば以下。

[aside type=”boader”]

標準和名:サクラマス
英名:Masu salmon / Cherry salmon
商品名:サクラマス

[/aside]

サクラマスは、“鮭類の総称”として鮭にも含まれるし、名前に“マス”が付くから鱒でもあります。

[aside type=”boader”]

標準和名:マスノスケ
英名:King salmon
商品名:マスノスケ(鱒之介)、キングサーモン

[/aside]

この魚は名前に“マス”が付くから鱒でもあるし、サーモンでもあります。日本でとれたものをマスノスケ、輸入したものをキングサーモンと呼びます。鱒なのかサーモンなのかハッキリしませんね。

[aside type=”boader”]

標準和名:ニジマス
英語:Rainbow salmon
商品名:ニジマス、トラウトサーモン、サーモントラウト

[/aside]

この魚も、鱒でもあるしサーモンでもあります。淡水に住んでいるものをニジマス、それを海で育てたもの(養殖したもの)をトラウトサーモンと呼びます。鱒なのかサーモンなのか難しいですね。

というわけで言葉の定義として違いはあるけど、綺麗に仕分けができるわけではないことが分かります。

次は生物学的な違いについて見てみましょう。

生物学的な違い

実は鮭と鱒に生物学的な違いはありません。

もうすこし正確にいうと、鮭か鱒のいずれか一方だけに存在するような身体的特徴や、特殊な習性はないってことです。

結論から言いますと、生物学的に明確な区分はありません。
サケという名の魚はいますが、「ます」というのはサクラマス、カラフトマス、ニジマスなど複数の魚を総称しており、かつ、そのますと称される魚だけに共通するようなサケとの違いはありません。

出典:国立研究開発法人水産研究・教育機構 北海道区水産研究所

鮭と鱒に違いがないので、鱒と一部の魚が重なるサーモンにも違いがないことになります。

次はサーモンにスポットをあてるため、英語での違いも見てみましょう。

英語で考えた場合の違い

「鮭」 = salmon(サーモン)

「鱒」 = trout(トラウト)

日本語の鮭と鱒を、英語に翻訳するとsalmonとtroutです。実はこのように英語にすると習性による違いがハッキリと見えてきます。

salmonと呼ばれるサケ科の魚は河川で生まれ、そのあと海に出て、数年たつと産卵のために河川に戻ってきます。いっぽうtroutと呼ばれるサケ科の魚は、河川や湖など淡水で一生を終えます。

英語では、習性によってシッカリ区分けができているんですね。鮭は海で獲れるもの、鱒は河川で穫れるものといった私達が持っているイメージは、英語から来ているようです。

それに比べて日本の鮭と鱒はかなり適当です。というか区別できません。

それがよく分かるのが、例えばサクラマス。日本では代表的な鱒ですが、このサクラマスは英語で、Seema / Cherry salmon / Masu salmonと言います。英語の名前を見れば分かる通りsalmonが付いていて、そして海に出るタイプのサケ科の魚です。

調べてみると、こういった例は他にもたくさんあります。

なぜ日本語の鮭と鱒は、ここまで混乱してしまったのでしょうか?

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鮭と鱒がここまで混乱した理由

日本語の鮭と鱒がここまで混乱したのは、その成り立ちに原因があります。

鮭と鱒は奈良時代から知られており、鮭といえば白鮭、鱒といえばサクラマスのことでした。

ここら先は引用のほうが分かりやすいので、以下参考までに。

 日本で昔からそ上が見られたさけ・ますはサケとサクラマスであり、当時はサケとマスで区別には十分でした。しかし蝦夷地の開拓が進むと道東方面に別種のさけ・ますが分布しており、サクラマスとカラフトマスという呼び分けが必要になりました。

さらに北洋さけ・ます漁業が始まると日本には分布しないものも漁獲され、漁業者はそれらをベニマス、ギンマスなどと呼び分けました。この時点ではサケだけが特別で、その他はすべて○○マスで統一されていました。

しかしながら、流通させるに当たってマスよりサケの方が高級イメージがあったので、ベニザケ、ギンザケという呼び名で販売されるようになり、それが定着して今日に至っているということです。

出典:国立研究開発法人水産研究・教育機構 北海道区水産研究所

このように商売優先で適当に名前を付けたんですね。だから後から混乱することにりました。

まとめ

鮭、鱒、サーモンの違いをまとめました。

言葉として違いはあるけど、それをもとに魚を仕分けることは出来ないことが分かりました。

[aside type=”normal”]言葉としての違い

  • 鮭とは“鮭類の総称”か、あるいは“標準和名としての鮭”のこと
  • 鱒は“マスが名前に付いた魚の俗称”
  • サーモンとは“サーモンが名前に付いた魚の俗称”

[/aside]

また鮭と鱒には生物学的な違いがなく、鮭だから鱒だからといった習性や特徴はありません。よって鱒と一部の魚が重なっているサーモンにも違いはありません。

英語にしたときだけはハッキリと違いがあります。海に出るものをsalmon、河川に住むものがtroutです。ただこれは「鮭、鱒、サーモンの違い」とは、微妙に話がズレてますね。

日本語における鮭と鱒では、鮭は海に出るもの、鱒は河川にすむものというイメージがありましたが、それらは全く違っていることが分かります。

というわけで、鮭、鱒、サーモンには違いがないと言うことが分かりました。

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